2012年6月11日月曜日

KOKO-狐子- 第2話①


全然進まないので出だしだけでも^^
すごく短いですが、もしよければ続きからどうぞですm(__)m









痛い…
苦しい…
つらい…

動けない…

引きずる左足からは血がどくどくと流れ続けている。
ここまでなんとか動かない身体を引きずりながらきたが、もうそれも限界だった。
意識は今にも飛びそうだし、手も足もこれ以上前へと進んでくれそうにない。
なんとか機能している耳と鼻は、段々と近づいてくる獣の気配を察していたが、察したところで身体が動かないことにはどうしようもない。
恐らく血の臭いに惹かれて集まってきているのだろう。
どちらにしろもう終わりだ。
もう逃げるのもやめにしようとその場に倒れ込む。
柔らかい土や積み重なる落ち葉がクッションとなって身体を受け止めてくれるが、濡れて冷えた地面は体温を更に奪っていく。
すべてを諦めて沈んでいく意識に身を委ねようとしたとき…

「うわっ、大丈夫かよおまえ」

突如ヒトの声がした。
獣だと思っていた気配の中に、人間も混じっていたらしい。
しかもこんな近くに来ていたのに気づかないなんて…
いや、どうせもう死ぬのだ。
人間に見つかろうが獣に見つかろうが大差はないだろう。
しかしこんな山奥に人間がいるなんて珍しい。
それとも自分は夢中で逃げているうちに人里のほうまで下りてきてしまったのだろうか。
顔を上げる元気もないので、その場で倒れたままそんなことをぼんやり考えていると、人間の足音が頭のすぐ上で止まった。
うっすらと目を開ければ、赤黒く滲む視界の中でその人間が急激に大きくなる。
そして次の瞬間、ふわりと身体が宙に浮いた。

――――――それが、君に触れられた最初で最後の思い出。





KOKO -狐子- 第2話




「それで、えーと……レッド…?」
「うん」
「その…言いたいことっていうのは…」
「しばらくこの家に置いて欲しい。…というか、グリーンの側にいさせて欲しい」
「……………え?」
「お願い、グリーン…」
「えええぇえぇええぇええええ!!!???」

嫌な気配が払拭された、むしろ今までになく清々しいほどのグリーンの部屋。
そんな中であるにも関わらず、グリーンの背中には嫌な汗が再び浮かんでいた。

「いや、おかしいだろ!何で神様…じゃないんだっけ…と、とにかく、神様みたいなのが俺なんかに…!」
「僕が一緒にいたいんだ……駄目?」

懇願するように見つめられ、手を握られてはノーと言えるはずもない。
それでも首を縦に振ることが出来ずにいるグリーンに、レッドは困ったように眉根を寄せていたが、意を決したように更に顔を近づけた。

「え…な、何を…」
「グリーン、僕何でもするよ?」
「何でもって…」

瞬間、グリーンの顔の前に風が巻き上がったかと思うと、次の瞬間には先程までグリーンを魅了していた少女がそこにいた。
息をのむグリーンにお構いなしに、少女…同じくレッドは、両手でグリーンの頬を挟みこんで小さく首を傾げる。

「グリーンのして欲しいことなら何でも」
「……っ」

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